由布岳は、私がこれまで登ってきた山の中で最も好きな山の一つである。
この山には、一昨年の秋と今年の春に登ったが、2回とも晴天に恵まれ、由布岳の美しい姿と共に、山頂からの360度のすばらしい眺めに登山の疲れが吹き飛んだ。
紅葉の時期になったらまた登ろうと計画していたものの、10月中旬以降晴天の日がなく、今か今かと我が愛車リードで旅立つ日を待ちかねていた。

 10月27日の朝、明日のお天気はよさそうだということで、急遽出発の準備にとりかかり、湯布院での山登りの常宿「由布の小部屋みずうち」に予約の電話を入れ、正午過ぎに山口市の自宅を出発する。
 9月から12月中旬まで関門トンネルが工事で不通となっているため、湯布院到着は午後6時を過ぎてしまった。湯布院の街中で夕食をすませ、翌日の朝食、飲料水等を調達して宿に入る。

 10月28日午前5時半起床、外はまだ真っ暗である。身支度を調え、朝食を済ませて午前6時半頃に宿を出発、登山口へ登る途中の「狭霧台」から湯布院の街を眺める。昨秋は、朝霧ですっぽり覆われた絶好の景色であったが、今回は、霧に覆われているのは由布岳で、高度千メートル付近から上はまったく見えない。はたして頂上に到着した時にはこの霧が晴れているだろうか?

 過去2回の登山は、由布岳正面登山口からのアタックであったので、今回は東口登山口から挑戦してみようかなとの思いに駆られ、東登山口に行ってみた。ところが、ここにはきちんとした駐車場がなく、路肩に駐めようと思えば駐められそうであったが1台の車も駐まっていない。今回は原付二種でやってきたこと、天候が今ひとつすぐれないこと、単独登山であること等を勘案し、やはり安全策をとり、正面登山口から登ることにし引き返した。

 

午前6時45分、由布岳正面登山口に到着、駐車場にはまだ登山者の車は駐まっていない。一番乗りのようである。数分してパジェロミニがやってきて、中年男性が降りてきた。我が愛車のナンバーを見て、これで山口からやってきたのか?と聞く。写真撮影のために来たとのこと、山登りをするつもりはないらしい。

 身支度を調えストレッチを済ませ、午前6時57分登山開始である。目の前の由布岳は、残念ながらガスの中、晴れてくれることを祈りながら草原地帯を歩いていく。
 

 草原地帯を終え、いよいよ林の中の登山道へ進む。以前は、トイレのあるこの地点にはゲートがあったが、今日は見あたらない。今の時期だから取り払われたのか?
登山道はすっかり秋の色、落葉が敷き詰められ、秋の風情を堪能しながら歩みを進めていく。

 合野越の50m手前でキャンという鳴き声と共にカサカサと葉のこすれる音がしたので、辺りを見渡してみると、何と!30m位先の林の中で鹿が3頭こちらをうかがっている。ザックに付けた熊よけの鈴の音で驚いて逃げたのであろう。慌ててカメラを取り出し撮影しようと構えた途端、鹿達は林の奥に消えていった。残念!
 北海道では何度か蝦夷鹿に出遭ったが、本州の山で野生の鹿を見たのは初めてであったので興奮した。以後も雌鹿が発するキャンという警戒の鳴き声が聞こえていたが、二度と姿を見ることはなかった。

 
                                                                                                    

 合野越には午前7時34分に到着、出発してから37分経過、ここでようやく水分補給をして一息つく。登山者はおらず、どうやら私が本日の由布岳の一番乗りのようである。

 ここからしばらくの間、つづら折りの道が続く。



 何度も何度も行ったり来たり、つづら折りの道を上って行き、ふと湯布院の町を見下ろすと、少しガスが晴れて町の様子が見えるようになってきた。この調子だと、山頂に到着する頃はすっかり晴れてくれるのでは?と期待する。

 

 

 

登山道はすっかり秋の色、落ち葉を踏みしめながら歩く。

 




マタエ到着は午前8時40分、出発してから1時間43分経過している。
さすがにマタエ手前からのガレ場は少々きつかったが、それよりも驚いたのは風の強さだった。
林の中の登山道ではわからなかったが、ガレ場に出てきたら、すさまじい強風が体温を奪い、Tシャツ1枚で登っていた私もさすがに寒くなって慌ててヤッケを着る。
 マタエで一息つこうかと思ったが、すさまじい風であるため、お茶を一口飲んだだけで、やむなくそのまま東峰山頂を目指す。

 午前8時58分、無事由布岳東峰山頂に到着する。出発してから2時間1分である。
 時間的には前回登山時とほぼ同じであったが、体力的には今回の方がはるかに余裕があり、疲れもほとんど感じていない。
 雲がかかっているが、山頂からの見晴らしは良好、下には湯布院の街、遠くは涌蓋山も見える。

 風が強かったが、写真撮影、休憩等で山頂に20分程度滞在し下山にかかる。

 

 

 

 マタエ付近でようやく登山者に出会う。
その後、次々と登山者が登ってくる。前回は、韓国からの登山者の団体に出会ったが、今日は西洋人の団体が登っている。

 合野越に到着し、休憩していると、賑やか声が響いてきた。休憩を終え下っていくと、登山道の脇でピンクのお揃いのスパッツを身につけたおばあさん達4人がガヤガヤと騒いでいる。通り過ぎようとすると、「ねえ、にいちゃん、これマツタケじゃあなかろうか?」と聞いてくる。
 見た目は似ているようであるが、少し違うし、香りもまったくないので、「違うのでは?」と答えると、不満そうな表情であった。何とも元気そうなカルテットだった。

 

 午前10時57分、登山口に到着、山頂を出発してから1時間36分であった。

 後ろを振り返ると、山頂付近にやや雲がかかってはいるものの、ほぼガスが晴れて由布岳の美しい姿が現れていた。
 登山口周辺には、高齢者二十名程度がスケッチをしている。絵画の団体であろうか。

 駐車場には車がいっぱい、あっという間に埋まっていた。