34.167216,131.478882
 本年5月中旬の「坊がツル」以降、数回の東鳳翩山登山を除いては、暑さもあってどこにも出かけていなかった。
特に今年の猛暑は強烈で、下手に山歩きなどをしようものなら、熱中症でたいへんなことになるのでは?と妻は尻込みをしていたが、ついに私は先日購入した原付二種による2泊3日のツーリングに「石鎚山」登山を組み込むことに決定した。

 盆明け直後の8月17日早朝、我が愛車リード110EXで自宅を出発、正午には尾道に到着し、しまなみ海道にかかる大橋の原付道を楽しみながら1日目は伯方島の旅館に宿泊した。

 翌朝は、しまなみ海道最長の橋である「来島海峡大橋」を渡り今治市に上陸、2日目の宿を確保するため、石鎚登山に最も便利と思われる国民宿舎「石鎚」に予約の電話を入れると、あいにく学生の団体が入っており宿泊は難しいとの返事、やむなくスタート地点の土小屋から石鎚スカイラインを下り、面河渓の中にある国民宿舎「面河」に泊まることとなった。翌日の登山計画は、午前6時に宿を出発、石鎚スカイラインを土小屋まで登り午前6時半に登山開始、遅くとも午前11時までに登山口に帰ってくることにし、面河渓のせせらぎの音を聞きながら早めに就寝する。

 

 

 予定どおり午前6時に宿を出発し、石鎚スカイライン入り口にやってくると、何!なんと!通行止めになっているではないか?よく見ると、この道は夜間の通行規制をしており、午後8時から午前7時までは通行できないようになっている。がっくりである。これで登頂開始が1時間遅れてしまう。早朝登山を計画するのであれば、必ず土小屋周辺の宿を確保しなければならない。やむを得ず、早朝の面河渓を散策して時間をつぶし、午前7時の開門と当時に終点の土小屋までぶっとばす。 

 

 午前7時30分に登山準備完了、まず最初に土小屋にある「石鎚神社土小屋遙拝殿」で登山の無事を祈願して登山口に向かう。今回は単独登山であり、また、石鎚山登山は鎖場があって少々危険らしいので念入りに無事を願った。

 

 遙拝殿から登山道入り口まではわずか、国民宿舎「石鎚」はこの入り口よりもさらに先にあって、この登山道を数分歩くと、国民宿舎からの登山道と合流する。

 午前7時37分に登山開始、4.6km先の頂上を目指す。

 地図で見て予想したとおり、しばらくは、木々に囲まれた日陰の中、きれいに整備されたゆるやかな登山道をハイキング気分で歩くことができる。時折東側の景色が見える。

 

 登山口からおよそ2キロ歩くと、目前に山頂が飛び込んでくる。
本日は快晴、頂上付近には雲もなく、頂上からは最高の景色が眺められるに違いない。

 ここからようやく登りらしい道になる。
眺めのよい尾根道を登っていくことになるが、道はよく整備されており、傾斜のある階段状の登山道は思ったよりもつらくない。

 山頂まであと2km、周辺の山々の素晴らしい景色を眺めることができる。
日射しは強くなる一方だが、登山道はきつい登りもなく快調、今回の登山は久しぶりということもあって、できるだけのんびりゆっくり、無理をしないようにと心がけて登るつもりだったが、日陰の登山道は思ったよりも涼しくてついついペースが上がってしまう。

 石鎚山の代表的な登山ルートは、土小屋からの他、石鎚登山ロープウェイを使って山頂成就駅まで行き、そこから山頂を目指すルートがある。頂上手前600mでこの2つのルートは合流し、山頂へと進むことになる。

 この合流点に午前8時55分に到着、出発して1時間18分である。

 

 これまではハイキング気分の山歩きであったが、山頂まであとわずかとなると、急登となるのは山登りの常である。
石鎚も決して例外ではなく、よく整備された木の階段が目前に連なっている。鳥居をくぐり目の前に見える山頂めがけてスタートする。

 階段を登り始めるとすぐに分岐点が現れる。
標識を見ると、右の道は石鎚山頂まで0.5kmとあり、左の道は「二の鎖経由」とある。
これが石鎚山登山で有名な鎖場か?

 石鎚山には、山頂近くに1の鎖から3の鎖まで、3つの鎖場がある。
一の鎖はロープウェイからの成就コースにあり、土小屋からだと二の鎖からチャレンジすることになる。

垂直に近い高さ50~60mもある岩場に吊された太く長い鎖、下から上を見上げると、こんな崖を鎖を持ちながら登っていくのかと思うと身のすくむ思いがする。しかも今回は単独登山、ここで滑落したら誰も助けてはくれない。
 そんな恐怖心の一方、事前にHPやブログで石鎚登山について調べていたら、小学生の子供達も登ったとの記事もあったし、せっかくここまできたのなら、やはり一度は鎖場を経験したいとの欲望もあり、一瞬のためらいの後、太い鎖を握りしめて登り始める。

 

とにかく3点支持に心がけ、ゆっくりと時間をかけて登る。途中2回ほど、足場が滑って両腕だけでの支持となり恐い思いをしたが、途中2度の休憩を入れ、どうにか無事に登り切ることができた。石鎚神社の神に感謝である。                                                                                                                    

 この二の鎖、正確には65mもあるそうだが、後に登りに要した時間を見てみると、何と10分程度かかっており、迂回路を回った方が遙かに早かった。

 
二の鎖を登り、しばらく進むと小さな木造のトイレが建っている。
そのトタン板には「三の鎖登り口」と案内板が貼ってある。

 一方、右手を見ると、この鎖場の迂回路として金属製のしっかりした階段が連なっている。
先ほどの二の鎖での体験がよほどきつかったのか、迷うことなく、すぐに迂回路に向かう。
階段を登りながら、三の鎖は、二の鎖よりもさらに長く、しかも垂直の壁で最も危険と書いてあったのを思いだし、この選択に誤りがなかったことを確信した。

 家に帰って再度調べてみると、さすがにこの三の鎖にチャレンジする人は少ないとあった。三の鎖を体験しなかったことへの後悔はみじんもない。無理をしていたら今頃あの世かも?中高年の登山者は、決して自分の力を過信してはいけない!

 金属製の階段を登り山頂を目指して5分、ついに山頂へつながる石段が出てくる。
正面に神社の祠が見える。

 午前9時34分、ついに石鎚山頂(弥山)に到着する。 登りに要した時間は、1時間57分であった。
暑さに負けぬよう慎重にゆっくりと歩き、二の鎖でかなりの時間を費やした割には時間がかかっていない。
肉体的な疲労感もほとんどなく、鎖場の恐怖さえ体験しなかったら、こんなに楽な登山はなかったであろう。
頂上に建っている石鎚神社頂上社で無事登れたことに感謝する。

 頂上には、このお社の他に「頂上山荘」という大きな山小屋が建っている。
 ここには、無料休憩所、売店、食堂のほか、宿泊施設もあり、疲れた体を癒してくれる。

 売店にて、コーラと石鎚登山記念バッチを買う。
缶ジュース類は120円の物が350円、およそ3倍の値段であるが、ここで販売している物品はヘリでの搬入しているとのこと、輸送経費を考えると止むを得ない値段であろう。

 

 ここは食堂、メニューには、カレーライス800円、シチュー&ライス800円、親子丼800円、おでんセット900円などが書いてあった。

 無料休憩所では、何も買わなくても椅子に座って休憩できる。

 東の方を見ると、石鎚山最高峰の天狗岳(1982m)がそびえている。
頂上山荘や石鎚神社の社があるこの頂上は「弥山」と呼ばれ、標高は1974mである。
せっかくここまで来たのだから、天狗岳の尖ったあの頂上まで行ってみたいとの誘惑に駆られたが、スカイラインの通行時間制限により出発時間が1時間遅れたため、ゆっくりしていては日没までに我が家に到着できない恐れがあり、後ろ髪を引かれる思いで午前10時5分、下山にかかる。

 下山していると、尾根の東側はどんどんガスが上がってくる。後を振り向くと、先ほどまでいた山頂付近はすでに雲に隠れている。
下山中に多くの登山者達と出会ったが、無事山頂に着いてもあの美しい風景はまったく見ることができないであろう。やはり登山は、早朝に出発し昼までに下山するのが正解である。

  中間地点付近で、二十歳前後の若い女性3人組が休憩していた。疲れ切ったという様子であったが、こんにちはと声をかけ通り過ぎようとすると、「鎖場まではあとどれくらいですか?」と聞いてくる。登りは今一つであるが下りは得意、足取り軽く下っている様子を見てベテラン登山者と思われたのかもしれない。ついこっちもその気になり、「鎖場は危ないから無理をしない方がいいよ。」とえらそうな言葉を返す。初めて石鎚山に登り、初めて鎖場を経験し、その恐怖心から二度と鎖は登らないぞ!と誓ったばかりのおじさんなんだけど・・・。

 午前11時19分、無事登山口に到着する。
下山に要した時間は1時間14分、一度も休憩しなかったので、予想よりも遙かに早いペースであった。
 本来ならば、汗びっしょりとなった体を休めるため、どこかの温泉にゆっくりと浸かって帰路につきたかったが、帰りのフェリーの時間が気になり、すぐに愛車リードに跨り三津浜港を目指した。

 初めての石鎚登山であったが、今回の登山コースは標高1500m程度の土小屋からであったので、頂上までの標高差はわずか500m程度、天候に気をつけ、鎖場さえ迂回すれば誰にでも簡単に登れる山であることがわかった。
 今回は、真夏酷暑の中の登山であったが、天狗岳を弥山の頂上から間近に見ると、さぞ紅葉の時期は美しいであろうと想像できた。次回、機会があればぜひ紅葉の時期にチャレンジしてみたいと思う。